あんず アプリコットの食べ方やジャム、お酒などのレシピについて解説

ジャムの材料として有名なあんず(杏子)を普段スーパーで見かけたことはありますか?
あまりスーパーなどでは流通しておらず、ジャムあお酒として食べることしかないと思います。
そこで今回は、あんずについて、生食やジャムなどのレシピについて解説します。

あんずとは

あんずは、バラ科サクラ属の落葉小高木に実る果物で梅や桃などの近縁にあたるフルーツです。

原産はアジアのネパールや中国北東部、山岳地帯とされており、紀元前から栽培されていた太古の果物で、

以前は薬用として利用され日本にも種を薬用目的にやってきました。

あんずの花は桜のような白い花を咲かせるため、花見としても春先に楽しむことができ、

桜よりも早い時期(3月~4月)に開花し、淡い紅色の花を咲かせます。

あんずの実自体は6月~7月の夏前時期に収穫期を迎え、熟すと薄い緑色から黄色へと変色します。

産地

あんずの有名な産地に青森県長野県があげられ、この2県であんずの生産量の約98%を占めています。

生産量でみれば2,000t以上のあんずを2県で栽培しており、一大産地としてあんずを生産しています。

両県の特徴でもある、水はけのよい土地と涼しい気候は、あんずの栽培に適した環境で、りんごなどもこの環境に適しています。

杏仁豆腐

薬膳料理の一種で、喘息や咳などの治療薬として使われたあんずの種のなかにある杏仁(きょうにん)を甘く調理した料理です。

今では中華のスイーツとして親しまれていますが、杏仁自体は苦味が強く、フルーツや白玉、ゼリー、バニラエッセンスなどと一緒になっているため、今の甘いスイーツの杏仁豆腐があるのです。

あんずの種のなかにある杏仁には、「北杏」と「南杏」の2種類があります。

北杏は、苦味が強く薬効として使われることが多いのに対して、南杏は甘味を多く含んでいるので、

杏仁豆腐やお菓子の材料などには南杏が使われることが多いです。

品種

あんずには多くの種類がありますが、主に西洋系と東洋系の2種類に分類されています。

ヨーロッパやアジアの中央で発展していたあんずは、比較的甘い品種が多く、

東アジアで発展していった品種は、甘味は弱く酸味が強い傾向があります。

平和

大正時代に長野県千曲市で発見された品種で、第一次世界大戦の終結を記念して「平和」と名付けられました。

酸味が強いので、主に加工用として利用されている品種で、6月下旬~7月上旬頃に出荷されます。

日本で最も栽培されている品種です。

昭和

昭和初期に品種登録されたことから「昭和」という名前が付けられました。

「平成」同様甘味は弱く酸味が強いのが特徴で、ジャムなどの加工品の材料として利用されています。

あんず特有の芳醇な香りをもっているため、香りのいいジャムを楽しむことができます。

信州大実

実が大きく、丈夫なのが特徴で比較的簡単に栽培できることから、自家栽培としても楽しまれている品種です。

酸味と甘み両方を均等に含んでいるため、生食と加工用の兼用品種とされています。

バラ科のサクラ属に分類されていることから、見た目は桜の花そっくりで、白から薄いピンク色の花を咲かせます。

花言葉には、「臆病な愛」「乙女のはにかみ」「疑い」「疑惑」があります。

「疑い」「疑惑」などの花言葉がついた背景には、同じ春の時期に咲く桜や梅と似ていることから、この花言葉が付けられたとされています。

長野県の千曲市はあんずの一大産地で、春の時期は森地区と倉科地区で一面に広がるあんず畑を楽しむことができます。

桜と似た特徴をもつあんずを見分けるには、樹皮を確認しましょう。

梅や桜は、樹皮に横の筋が入っているのに対して、あんずの樹皮には縦の筋が入っています。

あんずの木は、日当たりがよく、水はけのよい土地を好みます。木の高さは3m~5mまで成長するため、自宅で栽培する場合は、ある程度のスペースが必要となります。

あんずの実は小さく、手のひらサイズの桃のような見た目をしています。

品種によってサイズは異なりますが、小さくても梅の実、大きくてもスモモくらいのサイズ感で、

果皮の表面には小さな産毛があり、実の中には種と、種の中には白色の杏仁と呼ばれる仁があります。

果皮の色は黄色で、日光が当たっていた部分は赤色になっていきます。

アプリコットの違いとは

アプリコット(apricot)は、あんずの英名です。

物自体はあんずで物自体は変わりありませんが、アプリコットは生食ではなく主にドライフルーツなどの加工用として使われることが多いです。

アプリコットは中国の北部が原産の果物で、中国でよく食べられていたことから、「唐桃(カラモモ)」とも呼ばれています。

あんずは生食?あんず(ハーコット)の食べ方

生食用のあんずは皮ごと食べることができます。

主に生食用のあんずは、「ハーコット」と呼ばれておりカナダで育成された品種で、1979年に日本にやってきました。

酸味が少なく、しっかりとしたあんずの甘味を持っています。
糖度は桃とほぼ同じくらいとされており、中に種が入っています。

果肉も柔らかく非常に食べやすいのが特徴ですが、熟しているため、傷みやすく日持ちしないことから、都心では高級フルーツとして扱われています。

あんず自体も果物の中ではデリケートな種類で、輸送中に傷がついて傷んでしまうケースも多くみられます。

加工用のあんずは、実が熟していないため酸味が強く酸っぱいので、生食には向いていません。
コンポートやあんず酒の材料として使用するのをおすすめします。

アプリコット色って?

ファッションやインテリアなどでよく耳にするアプリコット色とは、薄いオレンジ色、ベージュっぽい色のことを指します。

あんずの実の色からきており、黄色と赤色を混ぜたような色合いは、柔らかい印象を与えます。

あんずの味は?

生食用のハーコットとは違い、あんず自体は酸味が強く甘い香りと爽やかな酸味が特徴の果物です。

あんずジャムのイメージから、甘味が強い印象がありますが、酸味は強く程よい程度の甘味があります。

生食用として流通しているものしか、生で食べられないのも、甘いイメージが付いている理由で、あんずには食物繊維やビタミンCなどを豊富に含んでいるのが特徴です。

あんずは通販でも入手可能

楽天市場などで生食用や加工済みのあんずを購入することができます。

サビや小さい傷、大きさが不揃いの訳あり品のあんずなら、たっぷり2kg入って5000円未満で購入することができ、存分にあんずを楽しみたい方にはおすすめです。

しかし、あんずはデリケートな果物のため、輸送中の傷により傷んでしまう可能性もあります。

通販の場合は、商品が届いたら中身を出して確認するのをオススメします。

一度中身を出して腐れがある物を取り除くことで、腐りが広がるのを防ぐことができます。

あんずを使ったレシピ

レシピ1:あんずジャム・アプリコットジャム

あんずを使ったレシピの代表的なものにあんずジャムがあります。
既に作られた市販のあんずジャムは有名ですが、手作りのあんずジャムは、香りも強く砂糖なしでも甘い贅沢なあんずジャムを作ることができます。

  1. よく色がついていて、柔らかそうなものを使います。
  2. あんずを綺麗に洗い汚れを落とします。ジャムを入れて保存する容器は煮沸しておきます。
  3. 鍋に、種を取り除いたあんずを入れて、グラニュー糖を加えて混ぜ合わせます。
  4. 水気がでるまで30分程のおき、水気が出てきたら中火にかけてアクを取りながら20分煮詰めます。
  5. レモン汁を加えて、10分加熱し、とろみがついてきたら火から下して完成です。

レシピ2:あんず酒・アプリコット酒

スーパーなどにも売っているあんず酒。手作りで作ったあんず酒は市販のものとは違い、濃厚な酸味と甘みを楽しむことができます。香りも強く鼻に抜けるあんずの爽やかな香りをお楽しみください。

  1. あんずを水洗いして汚れを落とし、氷砂糖と一緒に漬け込みます。
    入れる際はあんずと氷砂糖を交互に入れます。
  2. 皮をむいて輪切りにしたレモンを2~4個合わせていれます。
  3. 焼酎を注いで蓋をし、涼しい場所に保管します。
  4. 漬け込み期間は約3か月以上で、時々ゆすって氷砂糖を溶かしましょう。

まとめ

あんず自体は酸味が強いため、生食にはむいていないですが、あんず酒やジャムとして楽しむことができます。

ドライフルーツとして加工されることの多いアプリコットを楽しむこともできますが、生食でしか味わえないハーコットの美味しさを一度味わってみるのもいいですね。

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