全国和牛ふるさとマップ

【和牛の生産地はどこ?】日本の食卓を彩るブランド和牛のふるさとマップ

全国和牛ふるさとマップ
黒毛和牛イメージ

日本の食卓を彩るブランド和牛の生産地をマップでご紹介。
旅行に行った際にご当地の和牛を楽しんでみるのもオススメです。

和牛とは?銘柄牛との関係を解説

和牛について

黒毛和牛

日本が誇る和牛は次の4品種とその4品種間の交配による交雑種を指します。

  • 黒毛和種
  • 褐毛(あかげ)和種
  • 日本短角種
  • 無角和種

「和牛」と呼べるものはその約95%が黒毛和種で、その他「褐毛和種」>「日本短角種」>「無角和種」の順で少数となっています。黒毛和牛の特徴的な「霜降り肉」は、特有の柔らかさと脂の甘みを生み出し、高級牛肉として国内外で高い評価を得ています。

銘柄牛について

「銘柄牛(めいがらぎゅう)」は、生産地や育成方法、品質基準などに基づき、特定の名称が付けられた牛肉の総称です。
和牛だけでなく、交雑種(和牛と乳用種の交配種)や乳用種も含まれ、牛肉全般が対象となります。

銘柄牛は全国で320種類以上あります。
参考サイト 農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0112/04.html

ブランド牛について

ブランド牛といえば銘柄牛の中でも銘柄ごとに定められた基準をクリアしたものを指します。牛の種類、血統、飼育環境、飼料、さらには肉質などが評価基準となります。
日本のブランド牛はその品質、味わい、育成方法において他の牛肉にはない個性を持ち、世界トップクラスの評価を受けています。


ブランド和牛その①黒毛和牛

黒毛和牛

まずはブランド牛の代名詞ともいえる黒毛和牛をご紹介します。黒毛和牛であっても、ブランド牛と呼ばれるためには以下の条件を満たす必要があります

ブランド牛としての黒毛和牛の特徴

  • 特定地域での飼育: 例)松阪牛は三重県、近江牛は滋賀県など。ブランド名は、単なる地名ではなく、特定の地域で伝統的に受け継がれてきた飼育技術とこだわりを表しています。各地の気候や飼育方法が肉質に影響を与えます。
  • 厳しい認定基準のクリア: 肉質等級(1~5)、脂肪交雑(BMS)、歩留まりなどの基準が設けられています。ブランドによっては、性別や月齢、血統などの細かな条件も追加されます。
  • 管理団体の認証: 地域の生産者団体や農業協会が品質を保証します。
  • 美しい霜降り肉(脂肪交雑): ブランド牛の代名詞ともいえる「霜降り肉」は、筋肉内に脂肪が均等に入り込んだ状態を指します。特に黒毛和種は脂肪交雑が高くなる遺伝的特徴を持っています。この霜降りが、口の中でとろけるような柔らかさや甘みを生み出します。

厳格な認定基準と高い希少価値

ブランド牛の生産者は、牛の健康やストレス軽減に細心の注意を払い、一頭一頭を丁寧に育て上げます。そのため市場に出回る量が少なく、特別な食材として扱われます。

黒毛和牛は、単なる食材の枠を超え、日本文化とおもてなしの心を象徴する存在と言えるかもしれません。その一皿一皿に込められた物語とともに、贅沢な時間を楽しむことができるのが黒毛和牛の最大の魅力です。


ブランド和牛その②赤牛(褐毛和種)

褐毛和種(あかげわしゅ)

次にご紹介するのは赤牛(褐毛和種)です。赤牛は主に熊本県や高知県などで飼育されています。赤身が多く、脂肪分が少ないのが特徴で、しっかりとした食感と赤身の旨味を楽しめるヘルシーな牛肉として評価されています。

赤牛ブランドの魅力

  • 赤身肉の旨味: 脂肪分が控えめで、肉本来の旨味が強いのが赤牛ブランドの特徴です。食べごたえがありながらも、後味がさっぱりとしているため、たくさん食べても胃もたれしにくい点が人気です。

  • ヘルシー: カロリーが低めで、脂質を抑えたい健康志向の方やアスリートに選ばれています。

  • 放牧による育成: 広い自然の中でストレスの少ない環境で育てられるため、筋肉質で健康的な肉質が実現しています。

ブランド和牛その③日本短角種

日本短角種

日本短角種は主に東北地方で飼育されています。放牧を中心とした自然環境で育てられ赤身が多く、脂肪が少ないのが特徴です。そのため濃厚な旨味としっかりとした食感が楽しめる和牛として人気があります。

日本短角種の特徴と魅力

  • 赤身の旨味が豊富: 日本短角種は赤身肉の美味しさが際立つ品種で、脂肪分が少なく、噛むほどに旨味が広がります。肉本来の味わいを楽しみたい方に最適です。

  • ヘルシー志向: 脂肪分が控えめで低カロリーのため、健康志向の方にも人気があります。

  • 自然放牧による育成: 広大な牧草地で放牧され、ストレスの少ない環境で育つため、筋肉質でしっかりとした肉質を持ちます。

ブランド和牛その④無角和種(むかくわしゅ)

無角和種(むかくわしゅ)

無角和種(むかくわしゅ)は日本の和牛4品種の中で最も希少な品種です。山口県を中心に飼育されており、脂肪が少なく、しっかりとした赤身の旨味が特徴です。「山口無角牛」が無角和種のブランドとして知られています。無角和種を飼育する「繁殖センター」で繁殖を行い耕畜連携で地域内で完結する生産方式を採用しているようです。

◯無角和牛肉が安全な訳は…。
1.阿武町福賀の自然豊かな環境のなかで1頭1頭丹念に飼育しています。
2.粗飼料は、地元の高原で採れた『稲わら』や『牧草』を使用しています。
3.肉骨粉が一切入っていない配合飼料を使用しています。
4.無角繁殖センター生まれの純粋な阿武町っ子です。

山口県阿武町役場HP https://www.town.abu.lg.jp/guide/mukakuwagyunituite/

無角和種の特徴と魅力

  • しっかりとした食感: 黒毛和種のようなとろける脂の食感とは異なり、噛むほどに赤身の味わいが深まるのが特徴です。

  • 希少性が高い: 無角和種の飼育頭数は非常に少なく、国内の和牛の中でも特に希少です。
  • 保存プロジェクト: 日本全体の和牛飼育頭数のわずか0.1%以下とされています。山口県を中心に、無角和種の保存や改良に取り組むプロジェクトが進められています。

普及のための新たな商品開発も続いており、新たな需要が期待されています。


全国黒毛和牛16選

黒毛和牛

黒毛和牛ブランドの中でも有名どころの黒毛和牛をご紹介します。世界で知られる日本を代表する高級和牛の代名詞である黒毛和牛は、日本各地でその土地ならではのブランド牛として生産されています

松阪牛(三重県松阪市およびその周辺地域)

きめ細やかな霜降りと、口の中でとろける脂の甘みが特徴的。肉質等級A5が多く、濃厚な旨味が口いっぱいに広がります。

  • ブランド和牛の代名詞として国内外で高い評価を受けています。和牛の王道として、一度は試してみたいブランドです

神戸牛(兵庫県全域)

世界的に有名な黒毛和牛ブランド。脂肪の融点が低く、滑らかな舌触りと芳醇な香りが楽しめます。

  • 日本の黒毛和種の基礎血統となる但馬牛の中で、厳しい基準をクリアしたもの。国際的なレストランでも「神戸ビーフ」として提供される名品です

前沢牛(岩手県奥州市前沢地区)

霜降りの美しさ、脂肪の甘み、赤身の旨味が絶妙に調和した「肉の芸術品」と呼ぶにふさわしい和牛ブランド。

  • 厳しい基準をクリアした牛だけが認定されるため、常に高品質な肉質が保証されています。

仙台牛(宮城県全域)

宮城県が誇る高級黒毛和牛のブランド。厳しい基準をクリアした牛だけが「仙台牛」として認定され、柔らかい肉質ときめ細かな霜降りが特徴です。

  • 全国でも最高ランクの品質を持つ和牛として高い評価を受けています

近江牛(滋賀県全域)

日本最古の和牛ブランドとも言われ、脂肪の甘みとジューシーな肉汁が魅力。歴史と伝統に裏付けられた品質が光ります。

  • 近江商人たちによって広まった伝統的な牛肉文化が魅力です

米沢牛(山形県置賜(おきたま)地方)

冬の寒冷な気候が育む上質な脂肪が特徴で、旨味が濃く、後味がさっぱりしています

  • 「肉の芸術品」と称されるほど美しい霜降りが特徴です

宮崎牛(宮崎県全域)

全国和牛能力共進会で複数回の日本一に輝いた実績を持つ、今注目のブランド。
豊かなコクとジューシーな味わいが魅力です。

  • 初心者でも手に取りやすい価格帯と高い品質のバランスが魅力です

鹿児島黒牛(鹿児島県全域)

日本最大の生産量を誇る黒毛和牛ブランドで、柔らかく、バランスの取れた味わい。

  • 宮崎牛とともに全国和牛能力共進会(和牛オリンピック)での受賞実績を誇ります

飛騨牛(岐阜県全域)

きめ細やかな肉質と濃厚な風味が特徴。岐阜の自然が育んだ逸品

  • 日本アルプスの水と空気が生み出す至高の味わいです

佐賀牛(佐賀県全域)

肉質等級4以上の牛のみが名乗れる高級ブランド。濃厚な旨味と柔らかな食感が特徴です。

  • 豊かな自然と伝統が織りなす旨味と甘みのコントラストが食欲をそそります

おおいた和牛(大分県全域)

大分県の旧国名「豊後(ぶんご)」に由来する県内統一ブランド「おおいた豊後牛」の中でも認定基準をクリアしたもの。脂の甘みと赤身の旨味が絶妙。脂っぽさが控えめで、さっぱりとした後味です。

  • おおいた豊後牛のリーディングブランドとして平成30年(2018年)に発表されました

十勝和牛(北海道十勝地方)

十勝地方は広大な土地と豊かな自然環境に恵まれ、農業や畜産が盛んな地域として知られています。霜降りが適度に入ることで、肉質が柔らかくジューシーな仕上がりになっています。

  • 十勝和牛を焼いて食べられるイベント「十勝和牛感謝祭」も開かれ、認知度が高まっています

石垣牛(いしがきぎゅう)(沖縄県石垣島)

石垣島の温暖な気候と豊かな自然環境で育てられた黒毛和牛。赤身と脂肪のバランスが良く、柔らかい肉質とコクのある旨味が特徴です。

  • 自然放牧とストレスの少ない環境で育てられるため、肉質が引き締まっています

ふらの和牛(富良野和牛)(北海道富良野市およびその周辺地域)

広大な自然環境と寒暖差の大きい気候が特徴の富良野地方で、丁寧に育てられたふらの和牛は、高品質な和牛として評価されています。さっぱりとしながら深い旨味を楽しめるのが魅力です。

  • 寒暖差が大きい富良野地方の気候が牛の成長に適しており、筋肉が引き締まった高品質な肉を生み出します

常陸(ひたち)牛(茨城県全域)

茨城県が誇る黒毛和牛ブランドで、厳しい基準を満たした高品質な牛肉として全国的に評価されています。

  • 茨城県の自然環境と生産者の技術が育む常陸牛は、柔らかな肉質とコク深い旨味が特徴です

白老牛(しらおいぎゅう)(北海道白老町)

北海道白老町で育てられる黒毛和牛のブランド牛です。北海道ならではの広大な自然環境と豊富な水資源、長年培われた肥育技術により、高品質な和牛として高い評価を得ています。

  • 夏は涼しく、冬は暖かい、北海道では温暖な気候に恵まれています。雪も少なく、過ごしやすい気候と豊かな水が、牛の健康的な成長を支えています。上品な脂の甘みと濃厚な旨味は特別な日の料理にも最適です

赤牛(褐毛和種)2選

褐毛和種

脂肪の甘さを楽しむ黒毛和牛とはまた違った魅力を持つ赤牛ブランドです。赤身が多く脂肪分が少ないため、ヘルシーでしっかりとした食感の牛肉です

熊本あか牛(熊本県阿蘇地方)

熊本県阿蘇地方を中心に飼育される赤毛和牛の代表ブランド。適度な脂肪と赤身のバランスが良く、噛むほどに赤身の旨味が広がります。

  • 放牧中心の飼育方法により、ストレスの少ない健康的な牛が育てられています

土佐あかうし(高知県全域)

高知県で飼育される赤毛和牛ブランド。高知県内では土佐褐毛牛とも呼ばれていますが、牛肉流通においては土佐和牛「土佐あかうし」で流通しています山間地の自然環境で放牧され、筋肉質でしっかりとした肉質が特徴です。

  • 肉本来の風味が強く、脂肪分が控えめなためヘルシー志向の方に人気があります

日本短角種2選

日本短角種

短角牛は、岩手県を中心に青森県、秋田県、北海道など東北地方の自然豊かな地域で育てられています。放牧を活かした飼育方法により、脂肪分が少なくヘルシーで、赤身の旨味が濃い肉質が特徴です。

とわだ短角牛(青森県十和田湖周辺)

青森県十和田湖周辺で育てられる短角牛。放牧を主体とした飼育方法で、豊かな自然環境の中で健康に育てられます。大自然の山の中で春、夏、秋と良い牧草を求め山の牧草地を移動しながら育ちます。

  • 噛むほどに旨味が広がる赤身肉が特徴で、さっぱりとした後味が楽しめます

いわて短角牛(岩手県全域)

岩手県全域で育てられる日本短角種のブランド牛。放牧で育成されることで、筋肉質で赤身が多い肉質を持っています。四季の営みに寄り添った「自然放牧・自然交配」にこだわっています。

  • 牛肉本来の味をしっかりと感じられるのが特徴です

無角和種(むかくわしゅ)1選

無角和種

日本が誇る和牛の中でも特に希少な品種です。大正時代に現在の萩市で黒毛和種と欧州のアバディーンアンガス種の血統をもつ種雄牛と、在来の黒毛和牛との交配で誕生し山口県阿武郡一帯に広がりました

山口無角牛(山口県阿武町を中心とした地域)

無角和種の代表的なブランド牛で、山口県で主に飼育されています。赤身が多く、脂肪分が控えめなため、噛むほどに肉本来の旨味を楽しむことができます。

  • 脂肪が少なくヘルシーでありながら、味わい深い肉質を持つ山口無角牛は、まさに知る人ぞ知る和牛の逸品です

まとめ-全国ブランド和牛マップ

以上、有名な和牛ブランドについてご紹介してきました。ご紹介したブランド和牛のふるさとを地図にまとめると以下のようになります。
全国各地でブランド和牛が生産されていることがお分かりいただけるかと思います。

全国和牛ふるさとマップ

なお、ここでご紹介したブランド以外にも、日本各地にはまだまだ多くの和牛ブランドが存在します。それぞれに地域特有の魅力や特徴があり、全てをご紹介しきれないのが惜しいほどです。ぜひ、お住まいの地域や旅先で地元ならではの和牛を味わい、その奥深さを楽しんでみてください。


これからも地域と生産者が一体となり、持続可能な生産と品質向上を目指すことで、ブランド和牛の価値が次世代へと引き継がれ、多くの食卓を彩ることを願っています。

和牛の未来に期待を込めて、その魅力をこれからも楽しみ、応援していきましょう。

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